今日は2008年の米大統領選挙を題材とした映画をご紹介します！
どんな映画？
この映画は2008年の大統領選挙を題材にしており、原作は同選挙を取材したジャーナリスト2名(マーク・ハルぺリン、ジョン・ハイルマン)の共著『大統領オバマはこうして作られた』です
HBOにより2012年に発表された作品でエミー賞12部門ノミネート、5部門受賞しています
主人公は、共和党の副大統領候補であったサラ・ペイリン
大統領候補はジョン・マケインでした
2008年の大統領選は日本人の記憶にも新しいアメリカ初の黒人大統領が選出された選挙…という事は民主党が勝ち、共和党は敗北したのですがこの時もし共和党が勝っていれば彼女は合衆国初の女性副大統領となる可能性がありました
彼女が副大統領候補に指名されたのが2008年8月29日
敗北宣言が11月5日
その間どんな駆け引きがあったのか、というのがこの映画のストーリーです
主演のジュリアン・ムーアはエミー賞主演女優賞を受賞していますが
これがサラ・ペイリンにそっくり！なのもドキュメンタリーを観ているような気持ちにされてくれます
ジョン・マケイン大統領候補ってだれ？
ベトナム戦争で5年半も捕虜となり、うち数年に渡り厳しい拷問を受けながらも耐え抜いた英雄として人気があり、また共和党でありながらリベラルとも言われる人物
アリゾナ州の下院議員として政界入りし、2000年の大統領選ではブッシュと共に
共和党の候補指名を争っています
祖父と父は海軍提督、自身は大佐で退役していますが
自身が軍人であったためかタカ派でもあります
共和党保守派は同性婚・妊娠中絶・銃規制に反対するものですが
彼は反対の姿勢は示すものの母体に危険がある場合や強姦などの場合は中絶を許可するなどし、違法移民にも移住権を認める法案を提出したり
08年選挙でも気候問題(温暖化対策)を重要政策として掲げる共和党唯一の候補でした
2016年にはトランプの大統領としての資質に懸念を表明しており
2018年8月25日脳腫瘍のため他界した際には、生前からトランプ大統領の参列を拒否していた事もあり、対立していたトランプは参列しませんでした
しかしながら共和党だけでなく、党派を超え20人以上の上院議員が参列し
ジョー・バイデン、ジョージ・W・ブッシュ、オバマさんなどが参列したそうです
ちなみに、この映画の主人公であるサラ・ペイリンは遺族の意向で招かれなかったと言われています
サラ・ペイリン副大統領候補ってだれ？
この選挙で副大統領候補となった事により一躍時の人となった彼女は
それまでアラスカ州の州知事(州最年少で初の女性知事)でした
上でマケイン議員は共和党でもリベラル、と紹介しましたが
それでは共和党保守派の支持が盤石ではありません
それに民主党はアメリカ初となる黒人の候補を出してきた
そのためマケイン陣営は副大統領候補の選出でこのキャンペーンに一石を投じる必要がありました
そこで選ばれたのが彼女
まさにマケインの抱える弱みを全て補う期待の候補として選ばれました
ゲームチェンジ【ネタバレ注意】
こんな完璧な候補だったのになぜ敗北したのか…
実際サラ・ペイリンを指名した後しばらくは支持率が上がり、オバマ陣営を凌ぐほどでした
しかしながら副大統領候補となってから敗北までの間に露呈したのは彼女の資質の欠如だったのです
彼女はアラスカ州知事だったので本土からも距離があり中央政権との癒着がなく
新たな新風を運んでくれると思っていたマケイン陣営ですが
副大統領候補でありながら外交どころかそもそも政治家としての基本的な知識がないという事が段々露呈していきます…
『アラスカからはロシアが見えます』
これは08年9月にABCニュースにおける彼女の返答です
質問は当時のロシア情勢についてでした
他にも保守タカ派であるグレン・ベックの番組で『建国の父の中で最も尊敬する人は？』と聞かれ『全員尊敬している』と言ったり
ブッシュ・ドクトリンを『彼(ブッシュ)の世界観ですか？』と言ったり
そのわりにヘアメイク・衣装代に15万ドル(約1千5百万円)もかけて
選挙費用として計上し、共和党は彼女のために選挙用の衣装代という項目を作ったそうです
他にもいろーんな逸話があるのだけど、それは映画で観てね！
大統領選挙
副大統領候補選びがいかに重要か この映画を観ると考えさせられますが
今年、2020年の11月に現政権の2期目をかけた大統領選挙があります
民主党側の大統領候補はジョー・バイデン
現在、その副大統領候補…の候補として名前があがっているのは全て女性です
(彼は元々副大統領候補には女性を選ぶと公言していた)
まだ絞り込んでいる段階ですがアメリカ初の有色の女性副大統領誕生の可能性があり
彼は高齢のため、いざという時に大統領として職務をこなす能力と経験のある人物を選ぶと思われます
そうすると2024年の選挙にも大きな影響を及ぼす可能性も高いので
副大統領候補選びがいかに重要なものであるか、この映画を観てから現在の選挙戦を追っていくと窺い知る事が出来ると思います
