2016年にNetflixで特集された性犯罪被害者のデイジー・コールマンが2020年8月4日に自殺をしました。23歳でした
そして約4ヶ月後の先日12月6日今度はデイジーの母親であるメリンダ・コールマン(58)が自殺で他界しました
公式サイトによれば、ドキュメンタリー「オードリーとデイジー」は、この性的暴行事件が彼女たちの家族、友人、学校、コミュニティーに及ぼした影響を検証するものだそうです
この悲劇を決して他人事にせず、無駄にしないため、このドキュメンタリーを全ての人に観て欲しいのでご紹介します
Netflixドキュメンタリー:オードリーとデイジー
アメリカの異なる二つの町で、二人の少女に起こった、同じ悲劇。 ソーシャルメディア時代の闇に囚われ、セカンドレイプに苦しむ被害者の実態を伝える問題作。
この2人の少女に共通するのは
- 未成年であったこと
- 意識のない状態で知り合いにレイプされたこと
- それを撮影され、拡散されたこと
- 被害者にもかかわらず周囲からの嫌がらせやいじめなどのセカンドレイプを受けたこと
オードリー・ポット(May/27/1997-Sep/12/2012)
オードリーは、カリフォルニア州サラトガの高校に通う15歳の少女でした
彼女は2012年9月に高校の同級生宅で開かれたパーティーに参加。
泥酔し意識を失い気がつくと全身に落書きされおり、友人であった同級生3人により性的暴行を受けていました
男子生徒らはその写真を学校の友人に見せておりSNSで拡散、彼女はそのわずか8日後に自殺しました
彼女は同級生の中でも身体的発育が早く、ヌード写真を送ってという男子は多かったそうです
彼女は明るく社交的だったものの、いつも屈んだ時にも胸が見えたりしないか確認するような女の子だったそう
9月に被害届を出しても事件化されなかった事からオードリー他界後に遺族が不法死亡として男子生徒3人を提訴
デイジー・コールマン(Apr/30/1997-Aug/4/2020)
デイジーはミズーリ州メリービルの高校1年生で、事件当日14歳でした
彼女をレイプしたのは17歳男子、彼女の兄の友人でありミズーリ州の共和党元議員の孫でした
翌朝まだ意識がほぼない状態で1月の寒空の下、Tシャツとスウェットで自宅前に倒れているところを家族に発見されました
一緒にいた彼女の友人(13歳)もこの日別室で15歳男子により性的暴行を受けています
この15歳男子は罪を認めたものの、17歳男子は合意であったと主張。
この男子生徒を擁護する側の人間からネット上などでの嫌がらせを受けパニック障害やPTSDに苦しみ、放火により家が全焼、引っ越しを余儀なくされたこともありました
ハッカー集団アノニマスもこの件で声明を出したこともあります
自殺未遂を繰り返し、今年8月に他界しました
セカンドレイプとは
性犯罪被害者による二次的被害の総称
性暴力・性犯罪被害者が被害を公にしたり、被害を診察する産婦人科医や事情聴取をする警察官から、被害者にも責任があるという趣旨の発言を受けたりすることで、周囲の誤解や好奇に晒され二次的に精神的、社会的に不利益を被ること。
コトバンク
問題は、有責の加害者ではなく被害者が責められるということにあります
オードリーは加害者男子に「女の子として生きることがどういう事かあなたにはわからない」と言っています
そして「私の人生は終わった」とFBに遺し自らの命を終わらせることを選択しました
悲しいのはこれが現実で、そして珍しい事件ではないということ
決して他人事ではないのです
被害に遭った側が批判されることのない世の中にするため、声をあげていかなければなりません
メリンダ・コールマン( 〜Nov/6/2020)
デイジーの母親であるメリンダ、彼女は4人の子どもを持つ獣医でした
夫はデイジーが子どもの頃に交通事故で他界
2018年にはメリンダとデイジーの弟が乗っている車が交通事故に遭い、同乗していた息子を亡くしています
そして今年8月のデイジーの自死
デイジーが亡くなった時、彼女はこんな声明を出しています
私の娘、キャロライン・デイジー・コールマンが今夜自殺しました。もしあなた達がクレイジーなメッセージや投稿を見たのならば、それは彼女の様子を確認してほしいと私が警察に電話したからです。彼女は私の親友で素晴らしい娘でした。彼女は私に1人でも生きていけると思わせようとしたけれど私には出来ません。彼女が抱えていた痛みを取り除いてあげたかった!あの少年達が彼女にした事から彼女は回復出来ませんでした。不公平すぎる。私の可愛い娘はもういない
性犯罪被害者の現実
- アメリカでは…
- 性犯罪被害者の33%が自殺を考え、13%が実際に自殺を図る
- アメリカでは73秒に1人が性犯罪に遭っている
- 18−34歳が性的暴行被害の54%を占め、被害者の多くが30歳以下である
- レイプ被害に遭った女性の94%が2週間以内にPTSDを経験する(30%は9ヶ月ほど経ってから経験)
- 性犯罪被害者は、そうでない人に比べ大麻使用率が3.4倍、コカインが6倍、そしてその他ドラッグの使用率は10倍
- もっと色々なデータを見たい方はこちら↓
- https://www.rainn.org/statistics/victims-sexual-violence
- 日本では…
- 性暴力被害に遭った10−20代の50%に自殺念慮がある
- モデル・アイドルへの勧誘を装い性的暴行に発展する事件が問題化
- 内閣府 男女共同参画局「令和元年度 若年層を対象とした性暴力被害等の実態把握のためのインターネット調査」
- もっと学びたい方はこちら↓
- ヒューマンライツナウ「10か国調査研究 性犯罪に対する処罰 世界ではどうなっているの?〜誰もが踏みにじられない社会のために」
同テーマの他作品
「オードリーとデイジー」の続編ともなる、デイジーの回復への道のりに光を当てたドキュメンタリーが制作中でした
Saving Daisy
https://youtu.be/G0yZ09fCBQ8
オードリーの「ポット事件」とカナダで15歳のアマンダ・トッドが中1の時に撮ったトップレス写真を元に1年後に脅迫され写真はオンライン上に流出。引っ越し心機一転をはかるものの嫌がらせやいじめは止まず自死した「トッド事件」にインスパイアされて作られたと言われる
Unfrended
https://youtu.be/Lgj4GjqCFlY
セレーナゴメスが製作総指揮を執ったこの作品。ある少女が自死を選んだ13の理由を録音した7本のテープを遺した、というテーマ
13 Reasons Why
https://youtu.be/vSQponJhBuU
サポートを必要とする時は…
【アメリカ】
デイジーの立ち上げた、学校での性暴力を防ぐための非営利団体:SafeBAE
ドキュメンタリーの公式サイトには有益なサイトのリストがあります↓
https://www.audrieanddaisy.com/resources-tools/
【日本】
ワンストップ支援センター : 性犯罪被害者に対する専門の相談窓口機能を持ち、必要に応じ医師による心身の治療、警察等への同行支援を始めとする、適切な支援が可能な性犯罪・性暴力被害者のための支援センター
平成30年3月時、42都道府県で設置されています
#8103 :これは全国共通の番号で、発信地を管轄する警察の性犯罪被害相談電話につながります
まとめ
アメリカの女子大に進学して授業が始まる前のオリエンテーションの中にセルフディフェンスのクラスがありました
渡米してまず最初に注意すべき事として教わったのが大学構内での性犯罪の多さ、トラブルを避けるために常に気を付けるべき事でした
私は異性の幼なじみも多く兄妹のように育ち、彼らから性暴力を受けたこともなく、そしてそうやって育ったことがどれだけ幸せなことか、地元を離れて初めて知りました
今住んでいるハワイでも性暴力被害に遭った話はよく聞き、決して珍しい事ではないと感じます
セカンドレイプをなくすため、被害者への偏見を取り除くために私たちはこの問題について学び、考え、声をあげていく義務があると感じます
この記事が、あなたが性犯罪や性的暴行の被害者について考えるきっかけとなりますように…