おすすめ映画(政治)【ネタバレ注意】リカウント アメリカが揺れた36日間

アメリカの政治と宗教

大統領選が近付いてきたので、選挙前に観ておきたい2000年のブッシュとゴア選の舞台裏を描いた映画を紹介します!

過去の選挙戦についての映画ということで解説はネタバレしますので以下ご注意ください

RECOUNT

2008年発表
第60回エミー賞(11ノミネート、TVムービー作品賞など3部門で受賞)

2020年、今回の選挙では郵便での投票が議論の的ですが
2000年の大統領選挙では投票の集計過程で結果操作が行われたのではと大混乱が起きました
映画の「リカウント:再集計の意」もここからきています

あらすじ
国の未来 投票用紙の穴…次第
あなたの1票がモノを言う…ただしカウント(集計)されれば。
2000年の大統領選挙とは、フロリダ州のわずかな票の奪い合いーーそして「ハンギング・チャド(宙ぶらりんの穴くず)」という流行語を生んだ、票の再集計がすべてだった。

2000年のアメリカ大統領選挙。フロリダを…すなわち大統領選を制したのは、どちらの候補か。HBO Films制作の『リカウント』が追うのは、本選挙に始まりブッシュvs.ゴア事件の最高裁判決で幕を閉じる、36日間のドタバタ劇。片やテキサスのカリスマ、ジェイムズ・ベイカー率いる共和党。片やゴアの元首席補佐官ロン・クレイン率いる民主党。全米が固唾をのんで見守る中、両陣営の争いは、抗議、訴訟、上告、党の内紛と、日を追うごとにエスカレートしていく。実在する登場人物の多彩な顔ぶれを見れば、勝者を決めた役割と同じ暗いその厚化粧で広くアメリカ国民に知れ渡った、フロリダ州の州務長官キャサリン・ハリスの姿も。アメリカ大統領選選挙の歴史に残る大接戦。その事実は小説よりも奇なりを地で行く展開に光を当て、娯楽色豊かに描いた政治ドラマ

選挙は結果的には当初の予想通り共和党のブッシュ候補の勝利に終わりましたが、ゴア候補は予想外の善戦をみせ両者の得票数は拮抗し、最後フロリダ州を取った方が勝利するという状況でした

当初、僅差ではありましたが敗北宣言までしたゴア。しかしゴア側の選挙戦略責任者が調べたところボルシア郡の集計機に不備があり、ブッシュ候補に3,000票が加算され、ゴア候補は16,000票も引かれているらしいと判明します。

票差はわずか0.03%…州法で票差が0.5%以下の場合には通常機械による再集計が行われる事になっているため再集計へ…

まず、フロリダ州はリタイアした高齢者が移住する定番の州としての顔を持っているため、高齢者が分かりにくい投票用紙に四苦八苦していたと言う状況がありました

そしてパンチ式のため穴を開けるのにチカラもいります…パンチカードだと機械に通した際に無効票となる可能性があったためゴア陣営は手作業での集計を提案しますが、それでは完全に穴が開いていない「くぼみ票」をカウントするかしないかなど更なる混乱が起こります

・選挙の時点ですでに選挙委員会には投票を間違ってしまった有権者が押しかけ混乱
・その他にも日付も消印もない「軍人票」は有効とされた(ミリタリーは共和党支持者が多いためブッシュが有利になる)
・共和党支持者による再集計中に各地で起きた暴動のような抗議により再集計作業が中止に追い込まれたりしました
・選挙そのもののやり直しを求めるデモも起こりました
・フロリダ州では重犯罪者は投票権がなく投票除外リストに加えられますが、同じような名前のまったく関係のない有権者まで除外されていた(その多くは有色人種で民衆党支持者)←この件はシステム上の人種差別にも繋がります。過去に紹介したドキュメンタリーで詳しく知ることができます↓

結局、米最高裁が2000年12月12日に訴訟に対する判決を下しブッシュの勝利で選挙が終わると共にこの映画も幕を閉じます

余談:アル・ゴア

・この選挙で敗北したアル・ゴアですが、これにはクリントン元大統領のモニカ・ルインスキーとの不倫騒動も大きく関係していると言われます(当時ゴアは副大統領)

・インターネットやナノテクノロジーの普及への貢献でも知られています(自分がインターネットを作ったというような発言から過大な自己評価とブッシュ陣営に批判のネタを与えた事も選挙には影響したとも言われます)

・アル・ゴアは70年代からロジャー博士の影響で温暖化に興味があったそうでこの選挙後は環境活動家として知られていきますが、1992年に“Earth in the Balance ”(邦題: 地球の掟)という本を、2006年に”An Inconvenient Truth”(邦題: 不都合な真実)というドキュメンタリーを発表し2007年環境問題への啓蒙活動が評価され、ノーベル平和賞を受賞

・彼の専攻は政治学であり科学者ではないものの、不都合な真実は科学者の間でも概ね真実であると評価されており(多少の誇大表現もあり)、第79回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を受賞

・ハーバード大での当時のルームメイトが俳優のトミー・リー・ジョーンズであったことが知られています

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