【ハワイ】Taʻapeと持続可能性

ハワイと持続可能性

タアペととハワイの持続可能性

ハワイと海は切っても切り離せない
この島々に住む人々にとって、海は人生の一部で生活そのものである

コロナのパンデミックによる自宅待機令の最中であっても海でのアクティビティは禁止されなかった事がそれをよく表していると思う

気候変動や環境問題への関心がある人は畜産の悪影響を考慮し菜食へ切り替える人も増えてきた
もちろんこの流れは否応なく加速し、世界的にはヴィーガン人口も当然増えていくだろう

しかしながら全米トップを争う物価の高さのわりに給与水準の低いこの州では、オーガニックスーパーで毎日の食糧調達ができる生活水準の人間は一部である
釣りやスピアフィッシングは単なる趣味というだけでなく、ローカルにとっては生活の糧でもあるのだ

自給自足率の低いハワイではハリケーン接近の度に買い占めが起こるが、そこからも輸入に頼る生活への人々の不安が見える

実際パンデミックになってからは島の大型スーパーの供給も偏りがあり不安定で、外部からの輸入がストップしたら島は3日ほどしか持たないとも言われている

そこで様々な取り組みが行われているが、それは必ずしも菜食を推すものでないのがハワイの特徴である

今日はタアペをきっかけに外来種について考えてみたい

EAT ‘EM TO BEAT ‘EM

2020年10月のホノルルマガジンの記事にこんなものがある

“綺麗な私を食べて:タアペのストーリー“

Eat Me Because I’m Pretty: A Ta‘ape Story
Find ta‘ape, a cheap and sustainable fish, on Honolulu menus this week as part of a new campaign to “eat ‘em to beat ‘em...

まず、ハワイで魚はハワイ語で通っている事が多い
タアペは日本語でヨスジフエダイ、英語ではBluestripe snapper

IUCNのレッドリストではLC(Least Concern)という低危険種に指定されている

タアペはレモンイエローにエレクトリックブルーのストライプが綺麗で観賞用をイメージしがちな魚であるため、ローカルの中でもあまり食用のイメージのない魚であるが
ハワイのConservation International(以下CI)は地元のサステイナブルなフードソースとしてこのタアペを推奨している

What is the Ta'ape?
Check out the augmented reality (AR) Taʻape or bluestripe snapper — an invasive species to Hawaiʻi,meaningit is not nati...

先にも述べたが、タアペは外来種なのである

世界で最も孤立した諸島であるハワイの固有種は外来種の影響を強く受けるため意図的に持ち込まれたものであろうとなかろうとネイティブ種を脅かし、それが地元の漁業にも影響し、州は毎年数十億円をかけている

現水産資源部門(DAR)によれば、タアペは1950年代後半から1960年代初頭にハワイの海域に人が意図的に導入した南太平洋の数十種のハタやスナッパーの1つであった
マルケサスからの2,400匹のタアペはカネオヘ湾でリリースされハワイの人の食料源となる予定だったが、予想に反し食用とされずその数が爆発的に増加することとなる

そのため、タアペを食用にしようという呼びかけは実はこれが初めてではない
1987年にもDARの生物学者であるJo-AnneHoがTa’atpe Market Development Project を始め呼びかけた
「タアペは美味しい魚です。ハワイの人々は魚が大好きで、そのために毎年魚を輸入しています。タアペを使わないのはおかしい、試してくれさえしたらいいのに」
ハワイの地元の人に当時タアペが食用として定着しなかったのは、地元の人が赤や銀色の肌の魚にもっと惹かれているためだと結論付けられている

今回のキャンペーンにより多くの人が(例えば1週間に35家族が)クリステンムーン•ザピッグアンドザレディのスーシェフ•ホイシェフのマークノグチと一緒にタペを調理するライブビデオデモにサインアップし無料でタアペを受け取った
月を通してXO、Mad Bene、Fete、Town、Mud HenWaterなどのレストランが魚を提供しており
例えばTownの無料フィッシュアンドチップスやMud Hen Waterでファミリーミールを注文した時のモチコの丸揚げなどに用いられている
これ(オーシャンフレンドリーレストラン)については別記事でまた取り上げる

タアペのもう1つの魅力は価格の安さである
通常1ポンドあたり2ドルから4ドルでopakapakaなど他のスナッパーに比べるとだいぶ手頃な値段で入手できる
自宅で料理したい場合はTamashiro Market、チャイナタウン、シーフードシティ、レインボーマーケットなどが取り扱っている

 先述したようにハワイはシーフードの半分を輸入に頼っているが、80年代にはタアペの食用は普及しなかった
しかし今回は成功すると見込んでいるそうだ
“ハワイ中の私たちのコミュニティの多くは、島の回復力を高める解決策を求める事に取り組んでいる“とCIハワイの持続可能な水産業コーディネーターのJhana Young氏
 “地元で調達されたタアペを食べたり購入したりすることで、人々は私たちの漁業コミュニティに経済的利益をもたらし、外来種を排除することで美しい海洋環境を助け、輸入された水産物への依存を減らすことに貢献します。 ハワイは世界の外来種の首都と呼ばれています。だからそれを食べて打ち負かすのです“

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